9月12日に安保理で北朝鮮への制裁決議案が採決されたことで
アメリカはそれを成果として、お茶を濁しますが、
勝負が既により前の段階でついていたのかもしれない。
例えば、一週間前、北朝鮮が水素爆弾を爆発させた時点だ。
北朝鮮が第6回核実験を強行しました。しかも水素爆弾で、
習近平主席の晴れ舞台のBRICSサミット開幕の日に
合わせったように行ったのだ。
日米の強烈の反発を嘲笑い、ついでに中国を当てこすり、
邪悪極まりで、けしからんだが、
大胆不敵、傍若無人、誇らしげにも見える。
● チキンゲーム
現在の北朝鮮の核危機は、
アメリカと北朝鮮、或いはトランプVS金正恩の
チキンゲームだとしたら、
実弾を使う金正恩の方がより真剣なプレヤーに見えて、
トランプのアメリカが大掛かりな芝居の感が否めない。
「なにをしてかすのかわからない」予測不能さが
威力の源泉にしているトランプだが、
閉ざされた、神秘的な北朝鮮をバックにする金正恩の方が
「予測不能」の本家本元のようだ。
戦時の在韓国のアメリカ人を緊急救出する演習とか、
最低でも渡航自粛の勧告のような話もまったく出でこないのでは、
幾ら空母を派遣し、爆撃機を周辺に飛ばしても、
すべての選択肢がテーブルの上にあるとは言えず、
まして威勢よく武力攻撃を匂わす発言をすべてはなかったのだろう。
●「いじめる姑よりも止めるふりをする小姑が憎たらしい」
金正恩は政治的に軍事的にアメリカと敵対しているが、
感情的に、生理的にアメリカより中国を憎んでいるのではないかと思う、
5月に北京で開かれたシルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際会議
9月に杭州で開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議
に合わせて新式のミサイルを飛ばした。
そして今回のBRICSサミット開幕だ、
次回の挑発があるなら、
11月のトランプの中国訪問のタイミングに照準するだろうか
● 逃げるは恥だが役に立つ
別に偉大な金正恩将軍に、
習近平主席も、トランプ大統領もこてんぱんにやられた
ということ言いたいのではない。
中国初の核実験は64年で、最初の水爆は67年のことでした。
その後、冷戦が終結し、イデオロギーの争いが後退し、
グローバルに富を求めるのは正義とする時代になった。
時代遅れて50年とはいえ、
存亡を賭けて、核とミサイルを手にする
金正恩朝鮮の執念を軽視し続けた結果は今の厄介な局面だ。
それに相当の命懸けの覚悟がなければ、
チキンゲームにの安易に乗るべきではないということだ。
安保理今回の制裁決議案が妥協しすぎで、骨抜き、
北朝鮮にICBN大陸間弾道ミサイル技術に完成させる
時間の猶予を与えただけだ という意見もあります。
こういう見解もある意味正しいかもしれない。
が、水爆のカードを切った以上、
北朝鮮にもそうそう隠し玉が持っているとは思えない。
四六時中、挑発しては
周りも慣れって、ちょっとやそっとの脅しでは反映しなくなる。
それは案外金正恩にとってもっとも致命的かもしれない。
絶対の独裁者でない以上、民意を背負い、戦争を恐れ、
逃げ道を早々に用意するのは当然な反応だ。
北朝鮮に関する危機は、その自身の前時代の亡霊のような
血も涙もない卑劣な行いに起因するが
停戦協定を無視した在韓米米軍の存在から、
核不拡散体制の不条理にも遠因にあって、
そして、近年の国際対応の不甲斐さの積み重ねの結果だ。
地味で、退屈で、屈辱ですらある安全保障理事会の決意。
だが、全会一致で堅実に対応を積み重ねる以外、道がない。
チキンゲームの土俵から降りることは愉快な決断ではない
だが、それは危機解決に向かう方角へ
踏み出した大事な一歩になるはずだ。